前回、個人再生には、小規模個人再生と給与所得者再生の2種類があり、ほとんどに人は小規模個人再生を選んでいると書きました。実際に僕も小規模個人再生を選んでいます。今回は、両者でどれぐらい差が出るのか、実際に試算してみましょう。
給与所得者再生における可処分所得の計算
給与所得者再生においては可処分所得は個人の生活の事情などは考慮されず、住んでいる場所や家族の人数などで一律に決まります。
計算フォーマットは
日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:個人再生手続参考書式
や
などからダウンロードできます。特に下の方は必要事項を入れるとマクロが自動計算してくれますね。
ご自分でやっていただければ分かりますが、考え方として、「最低限ギリギリの生活をした際の必要経費」しか認められません。子供を私立の学校に行かせるなどもってのほかという計算式です。
で、自分で試算した結果、
1年間当たりの可処分所得額:350万円
計画弁済総額の最低基準額:700万円
となりました。
小規模個人再生の際の最低弁済額である300万円の2倍以上です。これを3年間で弁済することになりますので、1年間の弁済額が233万円、1ヶ月19.5万円です。さすがにこれだけの額を返しながら、かつ住宅ローンを返しながら生活を維持することは収支的に考えづらいです。
この為、僕の場合は弁護士さんと相談して、小規模個人再生で申し立てをする事になりました。
どんな人が給与所得者再生を選ぶのか
制度として存在する以上はほかのやり方にないメリットが有るはずです。
給与所得者再生で言われているメリットは「再生計画案に対する債権者の同意が不要である」です一方の小規模個人再生では「債権者の過半数かつ債権額の2分の1以上の反対がないこと」ですので、過半数の債権者、または過半数の債権を持つ債権者が再生計画に同意しない可能性が高いときには、あえて給与所得者再生を選ぶことも有るようです。ここで、再生計画に同意しない可能性のある債権者と言うのは、銀行や消費者金融ではない業者、例えば日本政策金融公庫などの事を指しているようで、普通に銀行や消費者金融会社のカードローンが債務になっている場合はそれほどの心配をする必要はないようです。
そして、収入が少なく、扶養家族が多い場合は、給与所得再生による計画弁済総額の最低基準額が小規模個人再生による最低弁済額より低くなったりほぼ同じになる場合がありますので、その際には再生認可までの手続きが少ない給与所得者再生を選ぶ場合があります。
次回は小規模個人再生の際に弁済額を決める、清算価値の考え方を書きます。