個人再生や自己破産など、裁判所の判断による決定が伴う債務整理方法の場合、個人情報が官報と言われる政府発行の刊行物に記載されます。
小規模個人再生の場合、3回官報に記載される
小規模個人再生や給与所得者等再生、自己破産を裁判所に申し立てを行うと、次のタイミングで官報に掲載されます。
官報とは、政府が発行する刊行物で、省令や政令、官庁や裁判所からの告示が掲載されているものです。
インターネットでも過去一ヶ月分は参照できます。
中身は上記官報サイトから見ていただくのが一番いいのですが、僕が行った小規模個人再生を例に取ると、次の3回掲載されます。項目としては、「裁判所告示」のページになります。
中身は画像データのPDFなので、Googleのクローラーにテキストで引っ張られることはありません。従って、Googleでググって「小規模個人再生、甲ノ乙男」みたいな形でヒットすることは無いようです。
一回目:小規模個人再生による再生手続開始
これは、裁判所が開始決定をした2週間後ぐらいに掲載されます。掲載内容は
- 住所
- 氏名
- 決定年月日時
- 主文:再生債務者について、小規模個人再生による再生手続を開始する
- 再生債権の届出期間
- 一般異議申述期間
となります。政府刊行物で公示することで、届け出していない債権者が居た場合に「自分も債権者である」と申し出ることが出来る様になっています。債権届出期間は債権者が債権一覧表に対して、一般異議申述期間は債務者が債権届出に対してそれぞれ異議を申し立てできる期間となっています。
二回目:小規模個人再生による書面決議に付する決定
これも、裁判所が再生計画について、書面決議の決定を行った後、2週間後ぐらいに掲載されます。掲載内容は
- 住所
- 氏名
- 決議に付する再生計画案提出日
- 再生計画に対する回答期間
再生計画の決議については、上記再生債権の届出にて確定した債権者によって行われるので、官報に掲載する意義はよく分かりませんが、最後の認可決定の掲載と同じく、特別抗告の可能性があるので、周知しなくてはいけないということかもしれません(正確なところは弁護士さんなどの法律家の見解が必要なところです)
三回目:小規模個人再生による再生計画認可
これも、裁判所が再生計画について、認可決定を行った後、2週間後ぐらいに掲載されます。掲載内容は
- 住所
- 氏名
- 主文:本件再生計画を認可する
- 理由の要旨:◯◯月☓☓日までに書面による決議により可決があったものとみなされた再生計画には、民事再生法に定める不認可の決定をすべき事由はない
となります。官報掲載日の翌日から2週間以内に債権者から高等裁判所に不服の申立(即時抗告)がなければ、再生計画の認可決定が確定となります。
基本的には債権者はこれまで2回不服申立てのチャンスが有ったわけですので、ここで不服申立てをしたケースは聞いたことがありませんし、ネット上にも記載がありませんでした。
下記が参考情報です。Yahoo知恵袋なのですが、書いている方は専門家のように思います。
官報への掲載場所
個人再生に関する事項は、再生手続開始と書面決議に付する決定は官報本紙の裁判所告示に掲載されますが、再生計画認可については官報号外の裁判所告示に掲載されるようです。載る場所が違いますので要注意です。
官報への掲載期間
官報は平日毎日発行の刊行物で、上記掲載はそれぞれ1日づつです。また、無料のインターネット官報は過去30日分が見えますが、30日を経過すると目次と法令、政令のみの掲載となり、裁判所告示本文は見えなくなります。
官報の掲載でどうなるか
官報の掲載により、実際に身に降りかかることとしては次の2つがあります
有無を言わせずブラックリストに入る
信用情報機関は官報をチェックしており、個人再生や自己破産で掲載された人には事故情報が付加されます。事故情報は信用情報機関により期間が違いますが、5年から10年保持されますので、この間は新たなローンやクレジットカードを取得する事が困難になります。
闇金業者から連絡がある場合がある
誰でも見ることが出来る政府発行刊行物に個人情報が載ります。上記のように、この人は新たにローンが組めない人ですので、闇金業者から見るとカモです。そこで、このような業者からダイレクトメールやテレアポが来る場合がありえます。
このような勧誘は毅然として断る必要があります。
あくまで、「建前の周知手段」のように見える官報掲載ですが、備忘録的に役割などを記載しました。