個人再生の再生計画について認可決定が出ると、基本的には3年間で決められた圧縮された債務を返済してゆくことになります。しかし、返済期間中に転職や退職や病気などによって、収入が大幅に減った場合は、裁判所に申請することによって返済期間を最大2年間延長できる制度があります。
再生計画の変更
個人再生の再生期間中、転職や退職や病気などによって、収入が大幅に減って、返済が滞った場合、原則的には、個人再生の認可が取り消され、元々あった多額の債務を返済する義務が生じます。個人再生によって減額された債務の返済ができなくて返済が滞った人が、元々の高額な債務を弁済できるはずはなく、こうなるとあとは自己破産に切り替えるしかありません。
そうならないための救済処置があります。それが再生計画の変更申請です。
再生計画の変更申請では、返済期間を最大2年延長することができます。3年返済の方なら5年まで、5年返済の方なら7年まで延長できる可能性があります。
延長申請は誰でもできるわけではなく、「本人の責任によらない理由により、収入の減少などが発生し、再生計画の実行が困難になった場合」とあります。ですので、浪費により返済資金がなくなったという理由だとだめで、リストラされた等、本人の責によらない事情で、返済に回す資金がなくなったという事情が必要です。
本人責によらない事情がある場合は、申請すればほぼ受理されるそうです。
申請から認可までの期間は結構長い
申請から認可までの期間は、個人再生そのものの審査とほぼ同じ期間がかかり、申請から認可まで約3ヶ月かかるそうです。返済ができなくなってから申請しても手遅れになる可能性もありますので、状況が変化したらなるべく早く申請に向けて動く必要があります。
弁護士さんの費用が高い
再生計画の変更にあたって、必要な資料は、個人再生の申請に必要な書類とほぼ同じボリュームがあるそうで、弁護士を使って申請する場合の費用は新たに個人再生を申請する場合とほぼ同じとなります。住宅ローン特則は関係ありませんので、弁護士事務所の個人再生の基本料金である30万円~50万円の費用が要求されることになります。
費用対効果が悪い
個人再生であれば、例えば負債総額1500万円の場合は300万円に圧縮されますので、効果としては1200万円、それに対する弁護士費用が50万円程度ですので、これは誰が見ても費用対効果が高いです。それに対して、再生計画の変更申請については、既に圧縮された金額の未返済分、例えば上記1500万円を300万円に圧縮し、既に半分の期間が経過している場合は、300万円の半分の150万円に対して、30万円から50万円の弁護費用がかかることになります。しかも残りの負債金額が圧縮されるわけではなく、返済期間が延長されるだけです。
不安があるなら最初から返済期間を長めに設定したほうが良い
このように返済途中での再生計画の変更は費用対効果が悪いので、もし返済途中で定年などにより収入が減ることが予め分かっているなら、最初から返済期間を5年にして申請したほうが良いと思います。ただ、再生計画提出時の収入がある程度あって、5年返済を認めるにあたらないとされた場合は、5年間の再生計画は認められない場合があります。リストラなどはいつ起きるか分かりませんので、再生計画申請時にどうなるか、予測が付きませんよね。
個人再生のセーフティネットとして設定されている再生計画の変更申請ですが、いざという時に時間がかかったり、多額な弁護士費用がかかったりして、実際にはあまり現実的ではありません。個人再生返済期間中は、少なくとも次回分の返済金額は手元において置けるように、少しでも倹約して置くことが必要となります。
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